第9回後継経営者・幹部研修会について
今回、本研修会に参加できたことをまず愛知県鉄構組合の方々に大変感謝申し上げます。
2泊3日のスケジュールの中でまず初めに感じたことは参加者みなさんの顔つきがどこか熱く何かを求めて来ているな、という印象でした。
講演者の方々も喫煙所で数名と一緒になった時には気さくに話しかけていただき良い雰囲気での始まりでした。
玉木社長の講演ではご本人の努力されてこられた道のり、上手に話すポイント、社会貢献を目的とする企業方針などを説明されました。その中で特に深く印象に残った言葉が「夢」というタイトルでした。
「夢があれば希望がある」
「希望があれば計画がある」
「計画があれば行動がある」
「行動があれば実績がある」
「実績があれば反省がある」
「反省があれば進歩がある」
「進歩があれば夢がある」
夢を実現させるにはいろいろ苦労もあるが、そこへ向かって一生懸命努力して生きるということが人間の宿命だと解釈しました。・・・感動しました。
東洋思想家の境野先生のお話はとにかく迫力があり81歳という年齢を感じさせない雰囲気でした。
創業者と後継者の夢に対する思いの違いが大きくあり、前者は燃えていて後者はただ後継するのが自分の役目だという考えの持ち主が多いことを言われました。
創業者と従業員の関係、後継者と従業員との関係の違いとして前者はこれまでの信頼関係があるため多言は必要ない。後者は意見交換がないと不安になる。というお話もされました。
いくら後継者といっても一歩一歩の積み重ね、人を大切にすることが必要なんだと実感しました。
旭イノベックス 中村専務のお話では主に予算書の作り方を教えていただきました。
予算を組み、実際どんな結果になったのかを確認することが重要であるということでした。
最初はかけ離れた数字になるかもしれないが実際に実践して感覚を養って行きたいと思いました。
それから特に興味を引かれたのは、一般的に鉄骨屋の収支というのは10年間のうちで2年黒字、4年とんとん、4年赤字というお話です。やはり厳しい業界なのだと思いました。
ムラヤマ 早坂技師長のお話でご本人が入社された時の苦労があり今現在熱心に活動されている改善提案活動につながったのではないかと思いました。
全員で活動に取り組み、点数報酬制にしていることが長続きのコツかなと思いました。
またその他社員教育として毎日終業5分間の5S運動、腰を痛めたらいけないということで13kg以上のものを持つことの禁止という思いやり、綿密に行う工程会議、1年以上使用しないものは捨ててしまう工場への配慮、作業員に対して日報はできるだけ丸印をつけるだけて済ませれるようにする工夫等々、一度お伺いして見てみたいなと心底思いました。
三重大学 川口教授のお話では必ず来ると言われる巨大地震、巨大津波に対して国もしくは市民がどのように対応するかというもので、本業以外でもやるべきことがたくさんあることを実感しました。
千葉工業大学 橋本教授のお話では鉄骨業界の社会的地位の確立、我々は特殊技術を持っておりそれだけの経験が必要で他には真似が出来ないのでプライドを持ちなさい。とかなり業界を心配されている様子が伺えました。
健全な経営ができずに4500社も存在したFABが2200社まで減ってしまった現状があり、何十年も鉄骨に携わり研究、指導されてこられた方なので、その気持ちが分かる気がしました。
もう一つ心配されていることは業界名がないことで当事者としては「かじや」「鉄工所」「鋼構造物工事業」と呼んでいるが、誰もがすぐに分かる名前をつけることを切願されていました。
また鉄骨の品質についてもいろいろな不良鉄骨を紹介しながら熱心に説明され、特に1975年の千代田区不良鉄骨問題以降、現在に至るまでの業界の取り組まれてきたことを聞いた時には本当に歴史を感じました。
各先生方がお話された内容は決して教科書に載っているものばかりではなく、この場でしか聞けない大変興味深いものがたくさんありました。
講演されるまでの労力と時間は相当なものだったに違いありません。
しっかり心に受け止めて今後取り組まなければならないと思いました。
それから講義の後の懇親会でもお酒を飲みながらいろいろな先生または同業者とお話させていただき各地方のいろいろな情報、知識を得ることができました。
また大雪の中、繁華街へ出て楽しんだのはいいものの帰りが電車もタクシーもなく悲惨な思いで帰ってきたのも良い思い出として残りました。
最終日の「私はこんな経営を目指したい」をテーマとした意見発表におきまして様々な意見が出た中で、「社員が自分の子供を入社させたくなるような会社を目指す」「税金を納められる会社にしたい」が特に印象に残りました。
この浮き沈みの激しい業界で生き抜くために皆さんが自分自身と社員が安定した平和な暮らしをイメージしながら一生懸命考えられた意見だと思いました。
この3日間の研修で知ったこと、学んだこと、感動したことが無駄にならないように今後意識して取り組んで行こうと思います。
最後にお忙しい中、本研修会でお世話になりましたすべての方々に深く感謝を申し上げます。
外山鋼業(株) 外山浩助