労働保険事務組合通信
委員長 榊原建工(株) 榊原 清孝
令和6年7月
委員長 榊原建工(株) 榊原 清孝
このほど総会にて労働保険事務組合委員長を仰せつかりました榊原です。
鉄骨加工業は危険の多い職業だと思われていますが、その事故の内容は類似したものが多く存在していると思います。
過去の事故事例を学び未来の事故を未然に防げるような委員会活動ができればと思います。
一年を通じて平沢副委員長と一緒に安全な業界の育成に努力をしたいと思っております。
微力ですが懸命に頑張りますので会員の皆様には御指導御鞭撻をお願い申し上げます。
令和2年5月
労災発生内容詳細報告
職場に内在する危険を前もって認識することは、同類の事故の防止に繋げることに効果があると考えています。
そこで、労働保険事務組合が前月に取り扱った労災事故の内容をお伝えすることでその効果が得られないか、という話が理事会で出ましたので、今後このような形でお知らせさせていただくことになりました。
11月
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発生時刻 | 職種 | 年齢 | 経験年数 | 休業日数 | 事故状況 |
9:20 | 溶接工 | 55歳 | 6年 | 0日 | 自社工場内にて、左手で鉄骨を持ち、右手でベビーサンダーを持ち、その鉄骨を削る作業を行っていたところ、誤って左手の親指の爪の下に当たってしまい負傷した。 |
第9回労災事故発生防止企業訪問(平成31年2月)
- 社内勉強会を年間通してやっている(安全衛生や制度改定に関することなど、1人の方が受講した講習を全社員へフィードバックするなど)
- 勉強会で学んだことの中で、会社として取り入れられることはすぐにやってみる。
- 玉掛けの1本釣りはしないように徹底している。
- 毎朝始業前に工場内を巡回し、気になった点を朝礼で指示している。
- 仕事が忙しくなると作業が煩雑になるので注意している。
安全帯について
厚生労働省は、高所作業で墜落を防ぐために労働者が着用する安全帯について、ロープなどを構造物に回して身体を支える「U字つり」など従来型の製品の使用を2022年1月から原則禁止しました。法令上の製品名称も「安全帯」から「墜落抑止用器具」に改めました。
従来型の安全帯は、墜落時に胴回りに巻き付けたベルトがずり上がることで胸部や腹部が圧迫されたり、ベルトから身体がすり抜けて地面に落下したりする恐れがあり、製品を着用した労働者が死亡する事故も発生しているため、厚労省は安全帯の規制の見直しに着手しました。具体的には以下のPDFをご参照ください。
第8回労災事故発生防止企業訪問(平成29年11月)
- ヒヤリハット事例集を設置、または配布して安全教育を行っている。
- 有資格者の把握をきちんとしている。
- ワイヤーチェーンの損傷、フックのねじれなどに注意するように声掛けを行っている。
- 物の置き方、スペースの確保に気を配り、転倒事故の要因を排除するように心がけている。
- 機械の自主点検表を作成し、安全確認を定期的に行っている。
第7回労災事故発生防止企業訪問(平成28年11月)
- クレーン操作は危険度が高いので、初心者についてはやってみせて練習をさせ学ばせる教育をしている。
- 作業の上手な人と下手な人をペアにして、下手な人のレベルを上げることで事故を防いでいる。
- ヘルメットをかぶらない人が見受けられたため、ヘルメットと軽帽の両方を用意して、装着率を高めるよう促している。
- メガネ・手袋の手当を支給して、装着するよう促している。
- スピードより安全を重視するよう常日頃から伝えている(安全重視の方が結果として効率が良くなる)
- 研修に行くことで、資格を取得し、レベルを上げ事故率を下げるように働きかけている。
- 夏季は熱中症の対策として、スポーツドリンク・塩飴・ファンのついた空調服を常備している。
- 監督署で労災講習を受けている。
労災事故発生防止パトロール(平成26年10月)
去る10月17日、第6回労災事故発生防止パトロールを実施いたしました。現在、仕事の受注が多く、工場内は製品でいっぱいになっていました。忙しいからこそ、安全への意識が必要な時期になっていると思います。
1.事業主の状況及び取り組み
(1)クランプは1社の物を統一して使用している
- 製品に傷がつかないよう、目が細かいものを使っている。その分消耗も激しい為、こまめに点検している。
(2)工場内に各エリアを設けエリア責任者を決めている
- エリアごとに道具を支給し、道具の管理まで責任を持たせることで、従業員の意識を変えさせている
- 従業員とのコミュニケーションの為、ホワイトボードを設置し、連絡事項や日々の気づきを記入するようにしている。
(2)トロッコが動くとき音が鳴る
(3)未使用時のクレーンのフックが地上から2m以上の位置にある
労災事故発生防止パトロール(平成26年3月)
去る3月26日、第5回労災事故発生防止パトロールを実施いたしました。今回訪問させていただいた2事業所について、どちらも事業主の労災防止に対する意識の高さに驚かされました。トップの姿勢がとても大切であることを改めて学ばせていただきました。組合員の皆様におかれましても、その取り組み内容について参考にしていただければと思いますので、是非とも御一読下さい。
- 安全についてのポイントを必ず一言伝えるようにしている。
- ヒヤリハット事例を伝えるようにしている。
- 従業員全員と「怪我をしない、させない、よし」と唱和して仕事に入る。
- 毎週月曜日に全作業者を集めて30分から40分かけ、安全と作業工程についての勉強会を
- クランプ等の使い方の良い例、悪い例を貼り出し、常々話をするようにしている。
- 進捗状況の共有化を図り、一体感を持って仕事に取り組めるようにするため、掲示板に図面等を貼り、誰もが進捗状況を把握できるようにしている。
(4)半年に一回安全大会を行っている
外部講師を招いて、泊りがけで安全に関する講習会を開催したり、社員達の手により安全にかかる資料を作成したりすることで、安全意識の向上を図っている。
2.工場内の様子(良い例、改善の必要がある例)
(1)玉掛けワイヤーのキンクを直し、強度の低下を防いでいる(良い例)
(2)安全通路が確保されているが幅が狭い(改善の必要がある例)
(4)転倒防止の措置が施されている(良い例、改善の必要がある例)
(5)鋼材を高く積んでいる(改善の必要がある例)
労災事故発生防止パトロール (平成25年10月)
去る、10月4日、第4回労災事故発生防止パトロールを実施いたしました。今回訪問させていただいたのは、安全意識が非常に高く、労災事故の発生が非常に少ない二事業所です。
組合員の皆様におかれましても参考にして頂ける部分があるかと思いますので、ご報告させていただきます。
(1)良かったこと
1.朝礼で行っていること
・従業員同士の指さし確認・唱和
確認できない場合は作業をさせないことを徹底したところ、従業員の意識が変わり、お互いに確認し合うようになりました。屋内、屋外問わず確認しています。
皆さん結構外しているヘルメットのあごひもをしっかりしておくことで、落下の際に、軽症で済む事案も多くみられます。あごひもの徹底をお願い致します。
・体調の確認
朝礼と昼休憩後に、現在の体調について「○・△・×」で自己申告をさせています。
「×」の場合は、帰宅させていた為、夏場でも熱中症になった従業員はいません。
前日の睡眠時間を記入させることも、有効な手段の一つです。
2.全国安全週間の活用
同時に、従業員全員に対し、1つ以上の安全スローガンの提出をさせ、匿名投票で全従業員によって選ばれたスローガンを工場内に掲げ、選出者には景品の付与をしています。
(※) 「全国安全週間」とは
労働災害防止活動の推進を図り、安全に対する意識と職場の安全活動のより一層のに向上に取り組む週間です。昭和3年に第1回が実施されて以来、一度も中断することなく続けられ、本年で第86回を迎えます。今年度は7月1日から7月7日まででした。
3.新入社員に対して
入社時に、防じんマスク等安全に必要な備品を支給しています。
仕事手順等は工場長が指導をしていますが、安全については、社長直々に教育をしています。
労災発生のご連絡を頂く中、入社間もない方と年配の方の事故が多いように感じられます。入社時の指導・教育をしっかりとすることで、事故防止に繋げていただくことと、年配の方には作業内容の見直し等のご配慮をお願いできればと思います。
4.従業員の資格について
また、どの従業員がどの資格を有しているか分かるよう、工場内に一覧表を掲示しています。
上記方法以外では、その場で有資格者であるかを確認できる様、ヘルメットに資格シールを貼ったり(前回紹介)、フォークリフトに運転できる従業員の氏名を貼るのも良い方法です。
5.保護メガネ、防じん、防毒マスクを着用している
マスク、保護メガネはいろいろ種類があるので用途に合わせたものをご使用ください。
(2)その他、良い例・改善の必要がある例
1.クレーンのフックの外れ止め(良い例・改善する必要がある例)
右の写真は上のフックには外れ止めが付いていますが、下のフックには外れ止めが付いていません。
2.ボンベの転倒防止(良い例・改善する必要がある例)
3.電気コードに癖が付き、よれている(改善の必要がある例)
第4回労災発生防止パトロールにご協力いただいた事業所の皆様、お忙しい中ご対応いただき、本当にありがとうございました。
今回訪問させていただいた事業所は事業主様、従業員の方々共に安全の意識がとても高く、様々な安全対策を教えていただくことが出来ました。
今迄いくつかパトロールをさせていただき感じたことですが、工場内で作業する一人一人の行動に焦りを感じる事業所、ゆとりがあるように感じられる事業所、様々です。その事業所の伝統や風土が従業員に伝わり、効率ではなく本気で安全を優先しているのかどうかが問われている気がしました。ゆとりが感じられる事業所の中には、過去5年以上労災がない事業所もありました。
また、ある事業所が私どもに何度もお話し頂いたことは、「とにかく命が大切である」とのことでした。作業を止めてまで、工場内の安全点検を行っているお話に、大変感銘を受けました。
2020年、東京でオリンピックが開催されることが決まり、今後忙しくなることが予想されます。忙しくなると効率優先になってしまい、今までの取り組みが出来なくなるかもとも心配されていましたが、お話を伺う中で安全対策に対する強い意思を感じることが出来ました。
今後も安全対策を継続・改善されていかれることと思います。
この労災事故発生防止パトロールにかかるレポートが、少しでも多くの事業所にとって、労災事故発生の軽減に役立てば幸いです。
労災事故発生防止パトロール (平成25年6月)
去る6月18日、第3回労災事故発生防止パトロールを実施いたしました。今回訪問したのは、二事業所です。工場内やそこで働く人々は異なりますが、安全に対する認識は共通したものであり、組合員の皆様におかれましても参考にして頂ける部分があるかと思いますので、ご報告させていただきます。
共通して良かった例
1.工場内が整理整頓され綺麗である。
2.安全通路がしっかりと確保されている。
3.使用しないクレーンのフックは頭以上の高さになっている。
1.シャーリングの安全カバー、ペダル
安全カバーが付いている(良い例) 足ペダルにカバーが付いている(良い例)
なお、シャーリングに限らず、使用していない機械(ポンチングマシン等)は電源を抜いておくことをお勧めします。
2.クレーンのフックの外れ止め
外れ止めが付いている(良い例)
外れ止めが付いていない(改善する必要がある例)
外れ止めのバネが緩んできたら、交換をお願い致します。
ワイヤーロープで製品を吊った状態で溶接をする場合、クレーンの巻き上げワイヤーに通電することで心網が弱り損傷し、切断する可能性が出てきます。今回訪問させていただいた事業所では、絶縁フックの代わりに軍手が掛けられていました。軍手をかませてワイヤーロープを掛けることで絶縁効果はありますが完全ではない為、絶縁フックの使用をお勧め致します。
ヘルメットではなく、頭巾のみを着用している方がお見えになられましたが、頭巾はあくまでも日焼け防止である為、ヘルメットの着用をお願い致します。
※正しい作業時の服装等
・グラインダー作業時・・・ヘルメット着用、防じんマスク、保護メガネ
・溶接作業時・・・・・・・ヘルメット着用、防じんマスク
防じんマスク、保護メガネは色々種類があるので用途に合わせたものをご使用下さい。
労災発生のご連絡を頂く中で、最も多いのは鉄粉が目に入る事故です。これから夏に向けて更に暑くなり、着用するのが辛い季節になりますが、鉄粉の入りづらい保護メガネをすることで、怪我のリスクが減ります。安全の為にも着用をお願い致します。
4.従業員が保有してる各種資格の表示について
有資格者には、ヘルメットに資格シールを貼り、作業範囲を区別することで無資格者に作業をさせないようにすることをお勧め致します。
第3回労災発生防止パトロールにご協力いただいた事業所の皆様、お忙しい中ご対応いただき、ありがとうございました。
今回訪問させていただいた事業所の工場内は、整理整頓が行き届き、とても綺麗でした、パトロールの連絡をさせて頂き、事前に工場内の清掃等して頂いていると、とても気持ちがよく、パトロールの効果も実感できて嬉しく思います。
今回訪問させていただいた事業所のうち一事業所は、以前に“愛知県で一番工場が汚い”と言われたことがあるそうです。現在の取組として重きを置いているのは、「とにかく在庫を持たないこと」。
「材料の価格の安いうちに購入し、売上につなげたい」とも仰っていましたが、それ以上に工場内の在庫を減らし、労災発生リスクを抑える重要性に気付いた事業所。私どもへの労災発生連絡が少ないのも納得ができます。
在庫に対する考え方は事業所それぞれのお考えがあるかと思いますが、まずは整理整頓、道具の所定の位置を決める等できるところから、工場内清掃活動をしてみてはいかがでしょうか。
この労災事故発生防止パトロールにかかるレポートが、少しでも多くの事業所にとって、労災事故発生の軽減に役立てば幸いです。